
日本の礼の基本は「和」の精神にあるといってよいでしょう。聖徳太子は「憲法十七条」のなかで「和をもって貴しとなす」といっています。ここに日本の礼法の精神の出発点があります。古代の公家社会では「有職」とよばれる儀礼や作法にかかわる知識の体系がつくられました。つづく中世の武家社会では「故実」とよばれる武家の儀礼や作法にかかわる知識の体系がつくられました。あわせて「有職故実」といいます。専門にその知識を研究し、また教える家も生まれました。
時代の変遷のなかで、有職故実の知識も実用性を失い、形式化した面もありますが、新しい時代の要請にこたえ、近世の町人の礼法や近代の国民礼法のなかにも、基本は生きているといえます。今日の礼儀作法を考える根拠として、このような礼法の歴史から学ぶものも多いのです。

